経営力向上コラム
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経営者の必須科目!与信管理とは??(2)  
~ 決算情報による与信管理が主流、でも鮮度は大丈夫?~
情報掲載日 2017年02月21日
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アラームボックス株式会社
審査部長 高見 真佐彦(タカミ マサヒコ)

前回の結論は、取引実績から代金回収の確実性を判断するだけでは問題がありそう
ということでした。では今回は、与信管理の王道「財務分析」から話を始めます。


【オーソドックスな与信管理~財務分析とは?】
財務分析の歴史は古く、1960年代のアメリカが発祥とされます。企業の優劣は
利益の量だけでなく質も考慮すべしとして発展してきました。 財務分析は、分析を行う
立場の違いにより外部分析と内部分析に分類されます。外部分析は経営者以外の立場から
分析を行うものです。その目的別に信用分析と投資分析に分かれます。一方の内部分析は
企業の経営者の立場から分析を行うもので、管理会計とも呼ばれます。

さて、私たちの興味は代金回収の確実性ですから、外部分析が使えそうです。
事実、信用分析は企業の債務支払い能力=代金回収の確実性を調べるための分析と
されます。売掛金の与信管理のほか、融資資金回収の確実性に興味がある金融機関や、
社債償還の確実性を知りたい投資家なども利用するオーソドックスな分析手法です。
(投資分析については、企業の成長性、収益性などの投資価値を調べるための分析で、
企業の株式を購入する投資家などが利用しています。)

財務分析はいわゆる決算情報(貸借対照表、損益計算書など)をもとに、実数分析
(自己資本や経常利益といった各指標の数値を前年数値または他社の数値等と比較する
分析手法)、比率分析(自己資本比率や経常利益率といった構成比率や相互比率等を
通じて行う分析手法)です。これらを駆使しながら、5つの側面(収益性、成長性、
安全性、効率性、生産性)から企業の債務支払い能力を評価していくことになります。


【特に重要な視点~収益性と安全性】
企業が存続するためには利益を上げる必要があります。売上高が大きくても
利益が小さい会社、ましてや赤字では、早晩会社は潰れてしまいます。したがって、
売上と費用(=売上-利益)のバランスを確認することが必要で、収益性分析は重要です。

これを確認する代表的な指標として総資産利益率(ROA))を見てみましょう。
企業が総資産(=資本+負債)を利用してどれだけの利益を上げたかを測るものが
総資産利益率です。総資産利益率=売上高利益率×総資本回転率と分解し、説明しましょう。

売上高利益率(=利益÷売上高)とは売上に対する利益の割合のことですから、
この指標が高いほど収益性が高いことがわかります。総利益、営業利益、経常利益等に
応じてそれぞれの利益毎に売上高利益率は計算されます。

一方、総資本回転率は前述の総資産に対する売上の比率で、これが高いほど
収益性が高いと判断できます。同じ売上高を上げるのに必要な資金が少ないほど
効率的に利益が上がる企業だということです。ただ、総資産が資本+負債だった
ことを思い出してください。総資産利益率が高くても資産の構成が借り入れに
偏っていると高い利益率を維持することが難しそうです。安全性の分析が必要と
なってくる理由です。

企業の安全性は資本と負債のバランスを比較することにより分析することになります。
資本よりも負債の方が大きいという会社は安全性が低いと言えます。とくに企業の
債務支払い能力では流動比率という短期的な安全性が問題です。
流動比率は流動資産額÷流動負債額により求めます。流動資産は1年以内に現金化できる
資産で、流動負債は1年以内に支払わなければならない負債です。

したがって、流動負債額<流動資産額だと流動比率が100%を超え、短期的な支払能力が
あると判断できます。これに対して流動負債>流動資産額だと、短期的な支払能力に
問題があるということになります。


【財務分析には決算情報が必要だが?】
財務分析は長い歴史の中でその手法が確立され、決算情報の信ぴょう性=粉飾さえ
見抜くことが可能となっていますが、唯一ともいえる欠点は「決算期は年に1度で
ある点」です。上場会社等では四半期決算の必要があるからその期間は短縮されます。
しかし、企業の多数を占める中堅中小クラスの企業において決算情報は年に1回です。
財務分析のみでは、最悪1年近く前の情報で、企業の債務支払い能力を評価しなければ
ならないことになります。

何やら心配になってきました。このような精緻な分析手法である財務分析も情報の
「鮮度」という点で完ぺきではないようです。ではどのようにすれば良いのか。

いよいよ次回は信用情報による企業評価のリフレッシュ手法のお話です。


経営者の必須科目!与信管理とは??(1)
経営者の必須科目!与信管理とは??(3)
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アラームボックス株式会社 審査部長 高見 真佐彦
アラームボックス株式会社 
審査部長 高見 真佐彦(タカミ マサヒコ)

■プロフィール
1983年一橋大学経済学部卒業。同年、現三井住友銀行に入行。
中小、ベンチャー企業の保証リスクを引受けるため、個社の
審査実務からポートフォリオ管理、データマイニング技術等を
駆使した審査アルゴリズム開発まで 幅広い実務に精通した
プロフェッショナル。2012年株式会社トラスト&グロース
審査部専門部長を経て、2016年より現職。


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【BOSS会運営事務局】(担当:渡辺)
MAIL : support@bosskai.net
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